老後資金、本当はいくら必要? 国の制度を徹底活用して準備しよう

2020年04月16日 更新

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「老後資金が2000万円不足する」の根拠は?

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が作成した報告書「高齢社会における資産形成・管理」にて、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の生活費が2000万円ほど不足すると指摘され、マスコミやネットの記事などで大きく話題になりました。

この数字は、2017年に行われた家計調査(総務省)のデータを元に計算されたものです。このデータによると毎月の実収入と実支出との差額(不足額)は約5.5万円で、年間では66万円です。これが20年続けば1,320万円、30年続けば1,980万円となります。2,000万円という数字はここからきています。

ただし、この数字はあくまで調査対象となった世帯の統計データであり、実際は個人差が大きいはずです。そのため、自身の場合では老後資金がどのくらい不足するのかを試算してみることが大事です。

年金の見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で分かりますし、支出については家計簿をつければおおよその金額を把握できるでしょう。正確な予測をすることは難しいですが、定年退職時に受け取れる退職金や住宅ローン残高など試算に必要な情報を集め、まずはどのくらい老後資金が不足するか計算してみることが肝心です。

何となく2000万円を準備しようと思っても実感がわかず、具体的に行動しようという気がおきないのではないでしょうか。

参考:
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」|金融庁

iDeCoやつみたてNISAを活用してコツコツ準備を

老後資金の準備方法としては預貯金や保険、投資信託などさまざまな方法がありますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAの活用を検討しましょう。

iDeCoは掛金が全額所得控除となるだけでなく、運用による利益が非課税になります。年金受取時も税制面で優遇されるので、メリットがとても大きいです。ただし、拠出したお金は原則として60歳まで引き出すことができないので、掛金の金額を決めるときは注意が必要です。新たな掛金の拠出を停止して運用のみとすることも可能なので、覚えておいてください。

また、つみたてNISAは運用による利益が最長20年間、非課税になります。積立投資による利用に限定されているため、まとまった資金がなくても老後資金の準備のために利用することができます。投資対象は金融庁が指定している173本(2019年10月1日現在)のみなので、投資経験が浅い方でも利用しやすいというメリットがあります。

なお、元本割れのリスクを嫌う方はiDeCoを利用するのがおすすめです。 つみたてNISAで利用できるのは投資信託のみですが、iDeCoなら投資信託より元本割れリスクの低い預貯金や保険も利用できます。iDeCoの公式データによれば、預貯金を利用している人は全体の約36%、保険を利用している人は約20%(2016年3月末~2019年3月末)なので、これらを利用している人の数は決して少なくありません。

参考:
iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題|厚生労働省年金局 企業年金・個人年金課

自営業者なら国民年金基金や小規模企業共済も検討すべき

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自営業者は老後の年金額がサラリーマンや公務員と比べて少なくなりがちです。そのため、よりしっかりと準備をすることが必要です。

自営業者ならiDeCoやつみたてNISAのほか、国民年金基金や小規模企業共済も選択肢になります。

国民年金基金の最大の特徴は「終身タイプ」の年金が選べる点です。民間の保険会社が販売する個人年金保険は通常、年金を受け取れる期間が決まっている「確定年金」タイプです。そのため、想定外の長生きをしたとき、生活費が不足するリスクをカバーすることは難しいという弱点があります。

しかし、国民年金基金なら生きている間はずっと年金を受け取れます。ただし、国民年金と違って「物価スライド」(物価の変動に合わせて給付水準を調整する仕組み)がないので、インフレが起きると実質的な価値が目減りするデメリットがあります。また、掛金の上限がiDeCoとの合計である点にも注意が必要です。

また、自営業者や小規模企業の経営者などを対象とした小規模企業共済も、iDeCoや国民年金基金と同様に掛金が全額所得控除となります。共済金を受け取るときも、一括受取の場合は退職所得、分割受取の場合は公的年金等の雑所得として扱われるので、税制面のメリットがとても大きいです。

なお、小規模企業共済は掛金の納付月数が240ヵ月(20年)未満で「任意解約」をすると、受け取れるお金(解約手当金)が掛金の合計額を下回ります。ただし、共済金を受け取れる事由(廃業や老齢給付など)が生じている場合は20年未満でも掛金の合計額を下回りません。

参考:
小規模企業共済|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

老後資金の準備方法のまとめ

老後に不足が見込まれるお金を準備する手段として活用できる国の制度を整理すると、以下の4つです。

・iDeCo
・つみたてNISA
・国民年金基金
・小規模企業共済

これらは税制面のメリットがとても大きいので、本格的に老後資金の準備をしたいのであれば、積極的に検討すべき手段と言えるでしょう。

なお、老後資金が不足するリスクに備える手段としての基本は「できるだけ長く働く」ことです。働ける身体を維持することは生活費を稼ぐことだけでなく、生活の質を落とさないためにも大事なことなので、健康管理はしっかり行いましょう。

この記事の著者

横山 琢哉

ライター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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