子供を良い学校に通わせてあげたいと願う親は多いでしょう。しかし、奨学金を借りると、いくら金利が低いからとはいえ、将来的に子供が返済をしなければならず負担を与えることになります。
そこで、子供ではなく親が借りたお金を返済する、教育ローンを利用する人も多いです。特に日本政策金融公庫が取り扱う「国の教育ローン」は金利が低いだけでなく、保証人がいなくても、教育資金融資保証基金が保証を請け負ってくれます。
しかし教育資金融資保証基金に保証人を依頼する場合は、事前に利用方法や注意点を確認する必要があるため、本記事で詳しく解説します。
【目次】
1.教育資金融資保証基金とは
教育資金融資保証基金は、日本政策金融公庫「国の教育ローン」の利用者が利用できる保証制度です。
基本的にローンを組むときは、連帯保証人がいなければローンの審査に通過できません。もしお金を借りた人が、返済できなくなった場合は、連帯保証人が代わりにローンを返済します。
しかし連帯保証人は、自分の親や兄弟などの親族であっても、なかなか頼みづらいもの。そもそも連帯保証人を頼めるような人がいない場合もあるでしょう。
また、仮に頼めたとしても、連帯保証人についても審査が行われるため、場合によっては依頼した人が連帯保証人と認められないケースもあります。
そこで、保証機関である公益財団法人「教育資金融資保証基金」に保証料を支払うことで、保証人になってもらえるのです。
2.教育資金融資保証基金の利用方法
教育資金融資保証基金を利用するには、所定の方法での手続きが必要です。
国の教育ローン申し込み時に保証依頼書を提出
教育資金融資保証基金に保証を依頼する場合は、国の教育ローンを申し込んだ金融機関に(日本政策金融公庫もしくは沖縄振興開発金融公庫)で、保証依頼書を提出します。
保証依頼書は、金融機関の窓口で入手可能です。
保証料は借入金から一括で支払う
教育資金融資保証基金に支払う保証料は、借入金から一括で差し引かれる仕組みです。保証料の額は、融資額や返済期間、元金据置期間によって変わります。
仮に融資額が100万円であった場合の保証料は、以下の通りです。
例えば、100万円の融資を元金据置期間なしの15年で返済する場合、100万円から保証料の69,751円が差し引かれて、930,249円が指定の口座に振り込まれます。
また、以下に当てはまる人は、保証料が上記の表の2/3になります。
● 母子家庭または父子家庭
● 交通遺児家族
保証料を確認したうえで、教育資金融資保証基金を利用するのか、それとも親族に連帯保証人をお願いするのかを決める必要があるでしょう。
ローンが返済できなくなったら教育資金融資保証基金が代わりに返済する
国の教育ローンを借りた人が、何かしらの事情でお金を返済できなくなった場合は、教育資金融資保証基金が代わりにローンを肩代わり(代位弁済)してくれます。
ただし借金がなくなるわけではありません。金融機関に返済しなくて良くなった代わりに、教育資金融資保証基金に対してお金を返す必要があります。
3.教育資金融資保証基金を利用しても親が万一の場合に返済は免除されない
教育資金融資保証基金に申し込んでも、お金を借りた親が亡くなった場合に、借り入れたお金がゼロにならないため注意しましょう。
そもそも国の教育ローンには、住宅ローンのように団体信用生命保険の機能はありません。仮に国の教育ローンを借りた人に万一のことがあった場合は、契約者を亡くなった人の配偶者や子供などに変更して、引き続き返済をしていく必要があります。
そのため教育資金融資保証基金に支払う保証料は、あくまで代わりに保証人になってもらうために支払うお金であることを理解しましょう。
一方で、自分自身に万一のことがあった場合に、配偶者や子供に借金を残してしまうのが嫌な人もいるはずです。そのような方は、国の教育ローンではなく、銀行のような金融機関で教育ローンを検討してみてはいかがでしょうか。
銀行のような金融機関の教育ローンには、団体信用生命保険が付帯されていることがあり、親が万一の場合は保険会社がローンの残債を保険金で支払ってくれます。
銀行の教育ローンは、金利が高い傾向にありますが、団体信用生命保険の保険料を金融機関が負担してくれる場合もあります。利息の額が多くなっても、保障を重視したい人は、銀行の教育ローンも含めて検討すると良いでしょう。
また、国の教育ローンを利用する場合は、生命保険に新規加入もしくは死亡保障を増額し、万一に備えるのも一つの方法です。さまざまな試算を比較したうえで、自分や家族にとって最も良い選択肢を検討してみてください。
4.まとめ
国の教育ローンは、教育資金融資保証基金を利用することで、連帯保証人を立てなくても利用が可能です。ただし、保証料が別途必要になる点や、万一の場合の保障機能がない点に注意が必要でしょう。
特に万一の保障が必要な場合は、銀行の教育ローンの利用や生命保険への加入などを、幅広く検討することが大切です。もしご自身にとって、最も良い方法が分からない場合は、ファイナンシャルプランナーのようなお金の専門家の力も借りると良いでしょう。