住宅購入したら確定申告は必要か?住宅ローン控除利用時の注意点を説明

2023年02月07日 更新

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住宅を購入するのは、人生の三大支出の1つにも数えられるくらいの大きな買い物です。その住宅購入を支援するために住宅ローン控除の制度があります。税金の制度を利用するのであれば、そのためにどんなことに気をつけなければならないか、気になる方も多いと思います。そこで今回は、住宅ローン控除利用時の注意点について記載します。

【目次】

  1. 住宅ローン控除の概要

  2. 住宅ローン控除を利用する場合の確定申告の要否

  3. 住宅ローン控除利用するための手続きおよび必要書類

  4. 他の税制利用時の注意事項

  5. まとめ


1.住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除を利用すると、個人の方が住宅ローン等を使って、マイホームの新築、取得又は増改築等をした際に、決められた年数の間に一定の金額が所得控除されます。具体的には、毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が、10年間に渡り所得税・住民税の額から控除されます。加えて、消費税率10%が適用される住宅の取得を関しては、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に入居した場合に、控除期間が3年間延長されます。詳しい内容は以下の財務省ホームページの資料をご参照下さい。

参考:
住宅ローン減税制度の概要|財務省

2.住宅ローン控除を利用する場合の確定申告の要否

住宅ローン控除を利用した場合、利用初年度は確定申告が必須です。2年目以降は、確定申告を普段必要としない方はする必要がありません。つまり、会社員の方の場合は、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を利用できますが、初年度は自ら確定申告をしないといけないことになります。

3.住宅ローン控除利用するための手続きおよび必要書類

確定申告が必要な場合とそうでない場合とで手続きおよび必要書類が異なるため、以下場合に分けて記載します。

住宅ローン控除の利用初年度

確定申告時に一般的に必要な書類として、確定申告書、マイナンバー記載の本人確認書類、さらに会社員の方であれば源泉徴収票が、まずは必要です。次に住宅ローンに関係する書類として、登記関係書類、住宅ローン残高証明書、加えて税務署に住宅ローン残高を報告するための住宅借入金等特別控除額の計算明細書等が必要となります。

住宅ローン控除の利用2年目以降

確定申告が元々必須の方は1年目と同様に確定申告を行います。確定申告が必須ではない、たいていの会社員の方であれば、勤務先にて年末調整をしてもらう手続きを行います。確定申告をした年の秋になると、税務署から「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が郵送されてきます。同時期に住宅ローンを利用している金融機関から住宅ローンの残高証明書が郵送されます。これらの2つの書類を勤務先に提出します。

4.他の税制利用時の注意事項

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住宅ローン控除を利用する場合に他の所得控除も合わせて利用することもあり得るでしょう。そこで、他の所得控除の制度を利用する場合の注意点を説明します。その前提として、まずは税金の一般的な計算方法について記載します。

税金額の計算方法を記載すると以下の通りです。

収入-給与所得控除=給与所得
給与所得-所得控除=課税所得
課税所得×税率=所得税・住民税

住宅ローン控除は、この所得税・住民税額から直接控除額が差し引かれます。具体的には、所得税から控除額を差し引いて、控除額に残額があれば、住民税から差し引きます。一方で一般的な減税制度は、課税所得を計算するときに所得控除という形で控除額を差し引く形を取ります。

医療費控除を併用する場合の注意点

医療費控除とは、1年間の医療費合計が一定額を超えた場合、その医療費をベースに計算した金額分の所得から差し引くことができる制度で、税金の計算上では所得控除の部分でその金額が差し引かれます。

参考:
医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

医療費控除を利用すれば、所得税・住民税がその分少なくなり、そこから住宅ローン控除によりさらに所得税・住民税が少なくなりますので、併用して利用する価値があると言えるでしょう。

注意点は、住宅ローン控除で所得税がゼロになる方です。住宅ローン控除で所得税がゼロになる場合、医療費控除を利用する意味がないのではないかと感じるかもしれませんが、そのときも併用する価値があります。なぜならば、上記の通り、住宅ローン控除は、住民税も減額されるからです。

例えば、年間の所得税額25万円の方が一般住宅を購入し、年末時点で住宅ローン借入金が3,000万円以上であれば、ローン返済期間10年以上なら控除率1%で年間減税額は30万円です。この場合は、25万を所得税から差し引き残り5万円を住民税から差し引く形になります。仮に医療費控除を利用し年間の所得税額が仮に20万円になった場合なら、所得税を差し引き、残りの10万円を住民税から差し引くことが可能になります。

ふるさと納税を併用する場合の注意点

ふるさと納税は、住所のある市区町村に納税する税金の一部を、他の市区町村に納税できる制度です。具体的には、ご自身で税金を納めたいと思う市区町村に寄付をして確定申告を行うことで、その寄付金額の全額もしくは一部が、所得税及び住民税から控除されます。例外として年末調整を利用できる会社員の方であれば、寄付先が5つまでならワンストップ特例制度を利用し、確定申告不要とすることも可能です。

住宅ローン控除の利用初年度の場合は、確定申告が必須であるため、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用することができない点は注意です。また、所得控除の観点でも併用すると所得控除額が減ってしまうケースもあり得るので、この点も注意が必要です。

ふるさと納税での所得控除も医療費控除と同様に所得控除で行われます。ですので、ふるさと納税を利用して少なくなった所得税・住民税から、さらに住宅ローン控除額が所得税・住民税から差し引かれます。医療費控除と違い、ふるさと納税を利用した節税は自ら利用額を調整できますが、その金額次第で住宅ローン減税で差し引くことのできる金額が減少してしまう可能性があります。

詳細はふるさと納税の民間業者のポータルサイトに詳しく掲載されているので、こちらもご参照下さい。併用した方よいかどうかのシミュレーションもここから確認できます。
併用した方がよいかどうかは、ふるさと納税の民間業者のポータルサイトでシミュレーション可能ですので、ご関心のある方は見てみて下さい。

5.まとめ

住宅ローン控除を利用する場合は、確定申告が必要なケースとそうではないケースの両方があります。また、他の所得控除を利用する場合は、控除金額についてもシミュレーションが必要な場合もあります。まずは、ご自身がどのパターンに当てはまるのか確認してみましょう。

この記事の著者

佐藤 彰

AFP認定者

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