教育資金の贈与を受ける際に注意すべき点とは?税金が発生するケースも解説

2023年02月07日 更新

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教育資金の贈与は、できるだけ贈与税が発生しないようにするのが最大のポイントです。もし相続税の負担を軽減する目的で、教育資金の贈与を検討している場合、高額な贈与税がかかってしまっては、税金対策として意味がありません。

そこで本記事では、教育資金を贈与する方法や注意点について、分かりやすく解説していきます。

【目次】

  1. 教育資金が必要なタイミングで贈与を受ける場合は非課税

  2. 教育資金の一括贈与非課税制度で最大1,500万円までの贈与が非課税

  3. 教育資金の一括贈与を利用しても税金がかかる場合

  4. まとめ


1.教育資金が必要なタイミングで贈与を受ける場合は非課税

そもそも教育資金の贈与については、基本的に贈与税は非課税です。ただし、教育資金が必要なタイミングで、その都度贈与する必要があります。

例えば、孫が大学に進学するタイミングで進学資金を贈与しても贈与税の発生しません。しかし、まだ孫が大学に進学していないにもかかわらず、将来の進学のためにと資金を提供した場合は、贈与税が課税されることがあります。

贈与税が課税されるのは、年間で贈与された金額が基礎控除額の110万円を超えた場合です。仮に1,000万円の資金を贈与された場合の贈与税額は231万円となり、769万円しか手元に残らなくなります。

暦年贈与を利用する

贈与税が発生しないように資金を贈与するには、教育資金が必要なタイミングで贈与する他にも、毎年110万円ずつ暦年贈与をする方法が考えられます。

一方で暦年贈与を利用すると、1,000万円を超えるような資金を提供する場合に、長い年月がかかります。また、毎年110万円ずつ決まった時期にお金を贈与すると、定期贈与とみなされて贈与税の課税対象となるため注意が必要です。

そのため、暦年贈与を利用する場合は、毎年贈与契約書を作成したうえで、贈与する金額や時期を毎年変えると良いでしょう。

2.教育資金の一括贈与非課税制度で最大1,500万円までの贈与が非課税

教育資金を贈与する場合、一括贈与非課税制度を利用することで、最大で1,500万円を贈与税がかかることなく贈与できます。そのため、教育資金の一括贈与非課税制度は、教育資金の準備だけでなく、相続税対策としても利用されるケースが多いです。

例えば、資金を贈与する祖父母が、相続税対策のために短期間で財産を圧縮したい場合は、教育資金の一括贈与非課税制度を利用すると、贈与税がかかることなく、まとまった資金を贈与できます。

教育資金一括贈与の非課税制度を利用する方法

教育資金一括贈与の非課税制度を利用するには、銀行や信託銀行のような金融機関で専用口座を開く必要があります。

保有できる口座は、贈与される人(受贈者)1名につき1口座のみ。口座開設時には、教育資金非課税申告書を金融機関を通じて納税地を管轄する税務署に提出します。

また、教育資金口座からお金を引き出すたびに、所定の期間内に領収証のような書類を金融機関に提出し、何にいくら使ったのかを申告しなければなりません。そのためお金の管理に手間がかかる点に注意しましょう。

上記に当てはまらないような支出は、例え親が教育のためと考えていても、教育資金とはみなされないため注意しましょう。

3.教育資金の一括贈与を利用しても税金がかかる場合

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教育資金の一括贈与非課税制度を利用しても、贈与税や相続税がかかることがあるため注意が必要です。

贈与税がかかるケース

以下のようなケースでは、贈与税が発生する可能性があります。

● 教育資金口座にかかる契約が終了し口座に残額がある場合
● 教育資金口座のお金を教育資金以外への支払いに充てたお金がある場合

教育資金口座にかかる契約が終了するケースには、贈与を受けた人が30歳になった時点で学校等に在学していない場合や、死亡した場合などが挙げられます。

また、教育資金は、以下のように定義されています。

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※出典:国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
※学校等とは学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所など
※令和元年7月1日以後に支払われる上記③~⑤の金銭で、受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるものについては、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限ります。

上記の教育資金以外に充てたお金がある場合、教育資金口座にかかる契約が終了した年に、まとめて贈与税の課税対象となります。教育資金以外への支払いをした年の贈与税の対象になるわけではないため注意しましょう。

相続税がかかるケース

資金を贈与した人が死亡した場合、死亡から3年以内に教育資金の非課税拠出(教育資金口座の開設や追加拠出)があると、管理残額が相続税の課税対象となります。

ただし、非課税拠出が行われたのが、平成31年3月31日以前である場合は、教育資金口座にお金が残っていても、相続税の課税対象になりません。

4.まとめ

教育資金は、必要なタイミングで贈与すると、贈与税は発生しません。お金が必要でないタイミングで資金を贈与する場合は、教育資金一括贈与非課税制度や暦年贈与を利用することで、贈与税の課税を避けられます。

一方で教育資金一括贈与非課税制度を利用するには、専用の口座開設と管理が必要なだけでなく、教育資金以外の支払いに充てたお金については贈与税の対象です。また、状況によっては相続税が課税される可能性もあります。

もしご自身にとって、どの方法で教育資金を贈与したら良いかわからない場合は、税理士のような専門家に相談すると良いでしょう。

参考:
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁
祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし|国税庁

この記事の著者

品木 彰

ライター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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